主な泌尿器科の疾患
- 前立腺肥大症
- 過活動膀胱
- 尿失禁
- 夜尿症(おねしょ)
- 膀胱炎 腎盂腎炎
- 前立腺炎(急性・慢性)
- 亀頭包皮炎
- 包茎
- 性感染症(淋菌性尿道炎・クラミジア性尿道炎・梅毒)
- 陰嚢水腫
- 尿路結石症
- 腎癌
- 膀胱癌
- 前立腺癌
- 精巣腫瘍
前立腺肥大症
前立腺は男性だけにある臓器で、加齢とともに前立腺が肥大する(腫れてくる)状態です。
前立腺が肥大すると尿が出にくい(排尿困難)、尿が近い(頻尿)、尿が漏れる(尿失禁)といった症状が出てきます。
場合によっては、尿が出せなくなり、下腹部が張ることで苦しい状態(尿閉)になる事があります。
治療は、内服薬で症状改善する事が多いです。
前立腺が大きく肥大している場合には、内視鏡的手術が必要になるため、基幹病院に紹介する事もあります。
過活動膀胱
尿が近い(頻尿)、尿が漏れる(尿失禁)、突然出現する強い尿意(尿意切迫感)、強い尿意のためトイレに間に合わずに尿が漏れてしまう(切迫性尿失禁)などの症状を引き起こす疾患です。
日常生活や仕事に支障を来たし、生活の質を低下させます。
50歳以上の男女の8人に1人が過活動膀胱の症状を経験し、そのうち半数の方に尿失禁を伴っているとする調査報告もあります。
適切な内服薬で症状改善できますので、年齢のせいと諦めずに御相談ください。
尿失禁
自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態です。
最近では、尿漏れ対策として吸水パッドの宣伝を目にする機会が増え、尿漏れで困られている方が多いのが実状です。
尿失禁は様々な原因で生じますので、排尿状態を確認し、骨盤底筋体操や内服薬による治療を主に行います。
夜尿症(おねしょ)
小児に多く、年齢とともに自然治癒する傾向にありますが、最近では積極的に内服治療を行う事で早期に症状が消失するとされています。
治療は、内服薬のほかに就寝前の飲水制限などがあります。
膀胱炎 腎盂腎炎
尿路感染症の代表疾患です。
女性は尿道が短く、外尿道口と肛門が近いため膀胱炎リスクが高く、多くの女性が一度は経験すると言われるほど身近な疾患です。
排尿時痛・頻尿に加え、血尿が見られる事もあります。
抗菌薬の内服で通常治癒します。
再発を繰り返す場合には膀胱癌など膀胱炎以外の疾患が原因になっている場合がありますので、泌尿器科専門医の診察が望ましいです。
また、膀胱炎だと思っていても、高熱・腰痛を伴う場合には膀胱から尿管・腎盂に最近感染が影響してしまい、腎盂腎炎を発症している場合もあり、その場合は抗菌薬の点滴治療を行う場合もあります。
前立腺炎(急性・慢性)
排尿後にすっきりしない、陰部に不快感(違和感)がある、尿が出しにくい(排尿困難)など様々な症状を認めます。
尿検査・超音波検査などを行い、抗菌薬などで治療を行います。
急性前立腺炎では、高熱・排尿時痛などを認め、場合によっては抗菌薬の点滴治療を行います。
亀頭包皮炎
亀頭や包皮に痛みや腫れが生じます。
抗菌薬の内服に加え、外用薬を使用し治療します。
稀に、包茎(亀頭の一部または全体が包皮で覆われている状態)が原因で生じる事があり、炎症を落ち着かせてから包茎手術を行う場合もあります。
包茎
亀頭の一部または全体が包皮で覆われている状態で、3つのタイプに分けられます。
真性包茎 | 通常時でも勃起時でも包皮をむけず、亀頭を露出できない状態。 |
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仮性包茎 | 通常は包茎状態でも手で包皮を剥けば亀頭の一部または全体を露出する事ができる状態。 |
嵌頓包茎 | 包皮をむくことはできても、むいた包皮が陰茎を締め付けてしまい元に戻らなくなった状態。 締め付けられることで血流が悪くなり、痛みや腫れが出現します。 早急な対応が要しますので、早急に医療機関受診が必要です。 |
性感染症(淋菌性尿道炎・クラミジア性尿道炎・梅毒)
尿道から膿が出る、排尿時に痛みがある、下着が膿で汚れる、といった症状が出現する尿道に炎症が生じた状態です。
代表的な尿道炎は淋菌性尿道炎・クラミジア性尿道炎ですが、非淋菌性非クラミジア性尿道炎も問題になっています。
適切な診断の後に抗菌薬による治療を行います。
尿道炎の場合、パートナーの治療も重要になりますので、女性の方は婦人科受診が望ましいです。
近年は、梅毒の感染者が爆発的に増加しており、尿道炎が心配と来院された患者さんの中には梅毒であると判明する例が多く、梅毒にも注意が必要です。
梅毒であっても、梅毒に効果のある抗菌薬により治療可能ですが、放置しておくと全身に様々な症状を来すため、早期に医療機関受診が重要となります。
陰嚢水腫
精巣の周囲に液体が貯留し陰嚢が腫れる状態で、幼児または中高年に認める状態です。
触診では精巣腫瘍と区別がつきにくいですが、超音波検査により識別可能です。
陰嚢水腫と診断したら、幼児の場合は経過観察もしくは手術が必要なこともあります。
中高年の場合には陰嚢に穿刺し、内溶液を回収します。再発を繰り返す場合には手術を行う場合があります。
尿路結石症
尿中の成分であるシュウ酸、リン酸、尿酸などが結晶化し結石となり、腎臓・尿管・膀胱・尿道に結石が存在している状態を言います。
腎臓内に存在する場合は腎結石と言い、症状は軽い事が多いです。
腎臓から尿管に結石が移行すると尿管結石と言い、腰背部から側腹部・下腹部にかけて疼痛を自覚し、血尿や嘔気・嘔吐を認める場合があります。
尿管から膀胱・尿道に移行すると膀胱結石・尿道結石と言い、血尿・排尿困難・排尿時痛などの症状が出現します。
尿路結石症を疑う場合には尿検査・レントゲン検査(X線検査)・腹部超音波検査などを行います。
治療は鎮痛薬・排石促進薬の内服となりますが、結石の大きさが10mm以上の場合には、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡的手術目的で基幹病院に紹介する事もあります。
腎癌
腎臓にできる悪性腫瘍で、初期の段階では自覚症状が乏しく、健康診断や人間ドックで偶然発見される事が多くあります。
進行すると、腰や腹部に痛みを自覚し、血尿、食欲低下、吐き気、体重減少などの症状も出現する事があります。
診断は、問診などに基づき超音波検査やCT検査などを行います。
治療は、初期の段階では手術療法が第一選択となります。進行している場合には手術・薬物療法(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤)・放射線治療などを組み合わせて治療を行います。
膀胱癌
目で見て赤い血液の色をした尿(肉眼的血尿)が出た、膀胱炎の症状が持続するといった場合には、尿路の悪性腫瘍を疑う必要があります。
特に頻度が高いのが膀胱癌であり、肉眼的血尿の程度と悪性腫瘍の進行度は相関しないと言われていますが、肉眼的血尿を自覚した際には、早期の医療機関受診が必要です。
尿の精密検査(尿細胞診)や膀胱内視鏡検査を行い精査します。
早期であれば内視鏡手術のみで対応可能ですが、進行すると膀胱全摘除術や化学療法・放射線治療を行う事があります。
肉眼的血尿を自覚した場合には、速やかに外来受診をお勧めします。
前立腺癌
PSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーにより早期発見が可能となりました。
市町村の検診や人間ドックでもPSAが測定されるようになり、早期の前立腺癌は増加傾向にあります。早期の前立腺癌では自覚症状がほとんどないためPSA検査が必要不可欠です。
PSAの異常を検診・ドックやかかりつけ医で指摘された場合には、泌尿器科受診をお勧めします。
前立腺肥大症や前立腺の炎症でもPSAは上昇しますので、PSA高値だからといって必ずしも前立腺癌とは限りません。
受診されると、直腸診・超音波検査を行います。必要に応じてMRI検査を行います。
診断は組織検査(前立腺針生検)で確定します。
治療は、無治療経過観察(PSA監視療法)・ホルモン治療・前立腺全摘除術(ロボット手術、腹腔鏡手術、ミニマム創手術、開腹手術)・放射線治療(体外照射:陽子線治療・IMRT、体内照射)など多岐にわたります。
精巣腫瘍
精巣に発生する腫瘍で20〜30歳代に多く発生します。
痛みなどの症状が乏しく、硬くなっている、大きくなってきたなどの際には精巣腫瘍が疑われますので、外来受診が望ましいです。
比較的悪性度が高く、早期から転移する事があるので診断した場合には速やかに基幹病院への紹介し治療となります。